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ゴルフ理論と
ゴルフマインド
ゴルフォート代表 喜田泰博

❶コーチ選び

初めに自己紹介をさせてください。

私は今年で49才になります。レッスン歴は21年程。ゴルフ歴は早いものでもう31年になります。レッスンで大事にしていることは、なるべく聞き手に馴染みのある日常的な言葉を使うことです。

ゴルフの専門用語は、ゴルフ経験の浅い方にはしっくりこない言葉が多いですからね。

私が認識している自身の性質は、なんでも自分で検証しないと納得しないタイプだという事です。ゴルフ理論は毎年のように新しい考え方が出てきていますが、とりあえずは「そうなのかな?」と、どうしても批判的な目で見てしまいます。

なので、その理論が正しいか判断をするまで、少し時間がかかるようです。

ただ単に素直さが足りないだけかもしれませんが。、

キャリアの前半は自分自身のスキルアップ、後半はコーチの育成が中心となりました。レッスンでもコーチ育成時にも心がけていたことは「相手の知識を確認して話すこと」です。

人に何かを伝える場合には必要なことだと思っています。

それにプラスして「ストーリー」を交えながら話すことも意識しています。

有名人や自分の体験になぞらえて、伝えたい事を“おりまぜて”話しをます。

そうすることで聞き手は共感し、伝わりやすくなる効果があると思います。

今回もこれに則り、ここからは少し私の体験を交えながらお話を続けさせて頂きます。

私がゴルフを始めたのが18歳。高校を出てすぐゴルフ場に就職しました。令和の時代からすればふた昔前の”昭和のゴルファー”です。

最初に所属することが決まったゴルフ場は、入社直前に事実上倒産していたこともあり、すぐに次のゴルフ場に移籍しました。

そこでは所属プロの指導を受けて朝晩の練習もこなし、それなりに練習はしていましたが、その割にはあまり上手くならずちょっと行き詰っていました。

そんな時に出会ったのがゴルフ場メンバーのOさんです。

とても面倒見の良い方でゴルフに来るといつも夕食をご馳走してくれました。

何度か一緒にラウンドして気心知れたこともあり、不安な心の内を思い切って相談してみました。内心は怒られるのではないかとドキドキしていましたが、返ってきた言葉は思いもよらないものでした。

「喜田くん」

「ゴルフ場のプロっていうのはね」

「ピンキリなんだよ」

「プロになりたてもいれば」

「賞金を稼ぐプロもいる」

「教わるならシード選手じゃないとダメだよ」

「どうせなら一流の技を教わりなよ」

「そもそも賞金を稼げる人がどんな練習してるかわからないでしょ。君」

この一言はとてもインパクトがありました。

そのころは20才になったばかり。昭和の体育会系のノリが色濃く残っていましたから。「大した努力もしないで生意気言うな!!」

ぐらいに怒られるのを覚悟の上の相談だったのですが。

経験を積んだ年長者は視点が違うなと感じたのを覚えています。

今のように検索エンジンで検索すれば情報がいくらでも出てくる時代とは違い、良い情報に触れる事がそもそも難しい時代でした。

良い環境にいることの意味が、今以上に大きかったと思います。

結局Oさんのつてで、有名シード選手が在籍するゴルフ場を紹介し頂き。話はとんとん拍子で進み、すぐに入社が決まりました。

それが「ザ・鹿野山カントリークラブ(名称は当時)」です。

そこでプレーヤーとしてゴルフの基礎を学び、今に至ります。

よく環境のせいにするな!!といいますがあれはウソです。

これは人のせいにするという意味ではなく、最低限の環境がないと上達しないという事実です。あのまま転籍せずに練習を続けても、今よりは間違いなく遠回りをしていたような気がします。

なので皆様、できる限り練習環境を整えましょう。間違いなくコーチ選びもその一つです。


❷実践力

ところで、私が運営する「ゴルフォートNY」ではゴルフ上達を望む皆様に、「最短でゴルフの目標を達成する」お手伝いをさせて頂いています。

そしてそのスキルを「実践力」と名打ち、次のことを意識しながら練習をして頂いています。

1、現状を知ること 2、基準を知ること 3、練習方法を考えること 4、良い習慣が身につくように練習する 5、必要な環境を整えること

この5つです。

よりコンパクトにまとめるならば

1、知る(環境を整える)→2、考える(環境を整える)→3、行う(環境を整える)

となります。

それぞれの段階で、必要なものを提供するのが私のコーチとしての仕事だと考えています。

レッスンでは生徒さんの考えや感覚を聞き出し、こちらからの情報については伝え方を工夫をします。

具体的には考えや感覚を聞くには適切な質問力が必要です。

また、動きを言葉にして伝えるには、ゴルフのモーションをどのように感じているか確認を行う必要があります。

このような共通認識作りには時間と労力を要しますが、それを惜しんで上達をサポートすることは望めないと考えています。

他、ポチベーション維持への取組や成果の確認なども行いますが、概ねこのような事を積み重ねていくのが私のやり方です。

話をOさんの続きに戻します。

実は先程は触れていないことが少しあります。

それは、履歴書を出した時に少しだけ怒られてしまったことです。

はっきりとは覚えていないのですが、かなりいい加減なものを出してしまったようで。

 でも、Oさんはそんな私に丁寧に教えてくれました。

「喜田くんね」

「もう社会人なんだから最低限のことは覚えなきゃダメだよ」

「履歴書はもっと丁寧に書きなさい」

「写真も貼ってないし」

「こんなんじゃ普通見てくれないよ」

 おっしゃる通りですよね。

でも当時の私は指摘して頂かないと気づきませんでした。

そこで私はすぐに書き直して再提出。

「じゃあこれで出しておくから」

と言われて、そのままトントン拍子に話が進んだというのが正確な内容です。

この経験から、他人の間違いを指摘する場合でもまずは基準を知っているか確認してから指摘する習慣がつきました。

基準と現状を知れば、そのギャップを埋めるために考えて行動することが出来ます。

これはまさに、先程お伝えした実践力の行動スパイラルですね。

1、知る(環境を整える)→2、考える(環境を整える)→3、行う(環境を整える)そのベースになっているのが環境づくりということもお話ししました。


❸基準とは


では、最後にゴルフの基準とは何かということに触れておきます。

ここはボリュームが多く、概要だけをかいつまんでお話することになりますがご了承ください。

私が常に気にかけている基準(視点)は5つあります。

1、平均値

2、共通点

3、フィジカル

4、ギア

5、データ

1、平均値

平均値はPGA(日本プロゴルフ協会)のティーチングメソッドです。

平均的な骨格や年齢のモデルスイングを基準にする方法です。

PGA資格を保有するプロはここをレッスンのベースに持っています。

私も資格取得時に勉強しました。余談ですが、ティーチングプロという名称は日本プロゴルフ協会の登録商標になっているため、資格のないコーチが使うことはできません。

2、共通点

これはスイングプレーンを利用したスイング解析です。スイングプレーンはベンホーガンが提唱した概念です。 ご存知の方も多いのではないでしょうか。 スイングを飛球線ラインから撮影してボールと首筋を結んだ線を引きます。 今はホーガンプレーン以外にもアドレス時のシャフトポジションの線。 前傾の角度をあらわす背骨の軸のイメージ線。 合計3本線をセットで解析を行います。 3本線があれば体の動きとクラブの動きを確認することができます。 もちろん正面からの撮影も行いチェックポイントがあります。

3、フィジカル

フィジカルの機能面からもスイング作りを考え、理想と最善の落とし所を考えます。スイングづくりは骨格や筋力、柔軟性を考慮し、トレーニングで機能改善をしながら行います。そういう意味では、プレーヤーは常に自分の骨格と対話をする必要があります。

松山英樹選手のマスターズ優勝で最近脚光を浴びている目澤秀憲コーチが保有するTPI資格は、関節の可動域などを重視し、そのチェック方法も確立されています。タイトリストが月日をかけて蓄積した膨大なデータを元に体系化されたノウハウだと理解しています。

ちなみに、PGAではスイングを8ポジションに分けますが、TPIでは10ポジションに分けます。以下、参考までに記載します。

PGA

①アドレス

②テークバック

③バックスイング

④トップオブスイング

⑤ダウンスイング

⑥インパクト

⑦フォロースルー

⑧フィニッシュ

TPI

P1、アドレス

P2、バックスイング(腰の高さまで)

P3、バックスイング(腰よりも上)

P4、トップオブスイング

P5、ダウンスイング(腰の高さまで)

P6、ダウンスイング(腰よりも下)

P7、インパクト

P8、フォロースルー(腰の高さまで)

P9、フォロースルー(腰より上)

P10、フィニッシュ

主流は10ポジションに移りつつありますが、8ポジションでもチェックポイントとしては常に意識をすることになるので、使い慣れた方で良いと思います。

4、ギア

ギアについては私の専門外になりますが、今までクラブを使用してきた経験から一通りの知識はあります。まず、フィッティングを行うには弾道解析器が不可欠です。同時に、ほぼ無限の組み合わせからヘッドとクラブを組み立てるには、かなりの経験と豊富な製品知識が必要になります。

メーカーの担当者でも自社製品に関しては詳しいですが、他社製品まで選択肢に入る場合には、責任あるアドバイスをできる方は非常に少ないと思います。

クラブのフィッティング理論も統一的な考え方はまだ出ていません。それに関してはスイング理論と同じです。スイング作りの段階で気にするのは、クラブの重さ、シャフトの長さ、硬さ、ヘッド形状、ライ角、ロフト角、グリップなど最低限の事です。著しく合わない場合にはアドバイスします。特に10年以上前のクラブを使用している場合には安全性の視点から交換を打診する場合もあります。

 5、データ

これは現代ゴルフの特徴的な項目です。弾道測定器の使用が日常的になりゴルフ界は一変しました。ゴルフォートでもフライトスコープ社ミーボプラスを使用しています。主にチェックするのはヘッドスピード、ボールスピード、この2つから導かれるミート率、バックスピン、サイドスピン(Dプレーン理論では軸の傾き)、入射角、インパクトロフト、クラブパス、打ち出し角などです。

ドライバーの飛距離を追求する場合には、ボールスピード、打ち出し角、バックスピン量が非常に重要になります。多くの場合スピン量が多い傾向があるので、打ち出し角を一定に保ちながらいかにスピン量を減らせるかがポイントになります。

 以上ざっと説明しましたが、語り尽くせるものでもない為、この辺で締めようと思います。最後までご覧頂きありがとうございました。

いずれにせよ、スイング改善にはこれだけの多くの基準(視点)があり、それを知った上で練習方法(最善への道)を探ります。

そういった意味で、スイング作りというのは、非常にピース数の多いパズルにチャレンジしているようなものかも知れません。パズルは完成図がありますが、ゴルフスイングでは画一的な完成図はありません。設計から全てが自由です。

だからこそゴルフは性別年代を問わず人気があるのだと考えています。皆様も終わりなき旅路の羅針盤として正しい考え方と視点を身につけてください。

最後までお読み頂きありがとうございました。